• ヴィアトリス
  • リパクレオン®

知っていますか? 膵外分泌機能不全の治療ポイント【腹痛編】

ご監修
九州大学病院 肝臓・膵臓
・胆道内科 助教
藤森 尚先生
医師A:経験豊富な膵臓専門医 若手の悩みに対して、親身になって指導している 医師B:ローテーションで内科研修中の研修医

うーん…

何か困っていることがありそうですね。

あ、先生。慢性膵炎の患者さんから「薬が多いから減らしてほしい」と言われ、どのように調整するか悩んでいました。

薬は、鎮痛薬ですか?

いえ、膵消化酵素薬です。腹痛などの症状もないようですし、減らしてもいいのかなって思っているのですが…

膵消化酵素薬を投与しているということは膵外分泌機能不全を伴う非代償期の患者さんですよね。
そもそも、慢性膵炎の非代償期では、腹痛や背部痛は軽くなることが多いですよ。

確かに、代償期ではよく鎮痛薬を処方しますが、今みている非代償期の患者さんは膵消化酵素薬がメインです。

はい。非代償期でも消化不良による腹痛はみられますが、腹痛や背部痛が主な症状であるのは代償期です。非代償期でみられるのは、膵外分泌機能不全による体重減少、脂肪便、消化不良に伴う症状などですね。

だとすると、腹痛がないからといって、簡単に薬の量を減らさないほうがいいでしょうか?

はい。『慢性膵炎診療ガイドライン2021』にも「慢性膵炎の非代償期における治療の基本は十分量の膵消化酵素薬投与と適切なエネルギー投与」と記載があります1)

今、膵消化酵素薬をどのくらい処方していますか?

添付文書に従って、リパクレオン®1回600mgを1日3回処方しています。

そうですね。通常、600mgを1日3回服用ですが、患者さんの年齢、体重、食事量、食事内容、食事回数等を考慮したうえで膵消化酵素薬の用法・用量を調整し、必要な分はしっかり服用していただきましょう。

患者説明のポイント

わかりました。でも、患者さんは薬の量が多くて飲むのがつらいって言ってました。

まずは膵消化酵素薬がどんな薬で、何のために飲むのかをしっかり説明しましょう。

たとえばこんな伝え方はどうでしょうか。

「慢性膵炎は進行すると膵臓の機能が障害されて、食べ物を消化するための酵素を作れなくなってしまいます。そのため、酵素を外から補填するためにお薬を飲みます。きちんと飲まないと食べ物を食べても消化されないので栄養が吸収されず、さまざまな病気につながる可能性があります。」

患者さんの食生活や栄養状態によって必要な膵消化酵素薬の量は変わりますので、それぞれの必要量を提示して、患者さんに理解してもらいましょう。

先生、必要な膵消化酵素薬の量を、上手く患者さんに説明するコツはありますか?

説明にあたっては、脂肪を消化するために必要なリパーゼ量を説明するのはどうでしょうか?
通常、1gの脂肪を分解するためには2000リパーゼ単位が必要と考えられています2)。リパクレオン®顆粒300mg 1包およびリパクレオン®カプセル150mg×2個は、20000~32000リパーゼ単位に相当するので、理論上10~16gの脂肪を分解できるとされています3)

たとえば、卵1個を使ったオムレツだと、脂肪は約10.8gで4)、リパクレオン®カプセル150mg×2個で理論上消化できると考えられます。

具体的な食事と脂肪量が分かると理解しやすいですね。

はい。『慢性膵炎診療ガイドライン2021』では、膵外分泌機能不全を伴う非代償期の患者さんでは、脂肪摂取量は1日40~70gまたは全カロリーの30~40%が推奨されていますよ1)

また、摂取すべき脂肪量は管理栄養士と連携して伝えていくのがよいでしょう。

先生、ありがとうございます。今後の治療の参考にします!

PAGE TOP