臨床成績(成人):外国第Ⅲ相試験(SUPER-1)(海外データ)|レバチオ
臨床成績(成人): 外国第Ⅲ相試験(SUPER-1)(海外データ)
社内資料(承認時評価資料):外国人肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした第Ⅲ相試験
Galiè, N. et al.:N Engl J Med 353(20):2148, 2005
利益相反:本研究はファイザー社より支援を受けており、著者に同社から利益受領している者及び社員が含まれる
外国第Ⅲ相試験(SUPER-1)の概要
- 【試験デザイン】
- 多施設共同、無作為化、二重盲検、ダブルダミー、プラセボ対照、並行群間比較試験
- 【目的】
- 18歳以上の肺動脈性肺高血圧症患者を対象にシルデナフィルを12週間投与し、6分間歩行テストで測定された運動耐容能に対する効果を評価する。また、シルデナフィル投与による安全性・忍容性の評価、血漿中薬物濃度と効果との関係性の検討、及び母集団薬物動態パラメータを求める。
- 【対象】
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肺動脈性肺高血圧症患者※1277例
・18歳以上
・安静時の平均肺動脈圧が25mmHg以上※2
・安静時の肺動脈楔入圧が15mmHg以下※2
※1:原発性肺高血圧症、結合組織疾患を合併する肺動脈性肺高血圧症、先天性心疾患の修復術後の肺動脈性肺高血圧症
※2:割り付け前 21 日以内の右心カテーテル検査時
- 【投与方法】
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レバチオ20mg 、40mg及び80mg、もしくはプラセボを1日3回無作為化二重盲検法により12週間経口投与した。レバチオ80mg群においては投与開始後1週間は40mg
1日3回投与とし、その後80mg
1日3回に漸増した*。
*:6. 用法及び用量
(成人)通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。 - 【主要評価項目】
- ベースラインから第12週時点までの運動耐容能(6分間歩行距離)の変化
- 【副次評価項目】
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第12週時点までの下記項目の変化
- 平均肺動脈圧(mPAP)
- 臨床状態の悪化までの期間(死亡、肺移植、肺動脈性肺高血圧症による入院、プロスタサイクリン又はボセンタン療法の開始のいずれか1事象の発生までの期間)
- BORG呼吸困難スコア
- 【三次評価項目】
- 血行動態パラメータ(肺血管抵抗係数、心拍出量、右房圧など)、肺高血圧症のWHO機能分類、肺動脈性肺高血圧症の長期基礎療法の変更、QOLなど
- 【解析計画】
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レバチオ各投与群とプラセボ群との比較は、80mg、40mg、20mgの順にステップダウン法(閉検定手順法)を適用した。主要評価項目では、層別因子をベースラインの歩行距離及び病因とする層別t検定を実施した(有意水準:片側0.005)。主要評価項目において有意差が認められた場合
、副次評価項目について、以下の順に検定を実施した(有意水準:片側0.025)。平均肺動脈圧:層別t検定; 臨床状態の悪化までの期間:層別Log-rank検定; BORG呼吸困難スコア:層別Wilcoxon順位和検定。
運動耐容能(6分間歩行距離)のベースラインからの変化について、投与開始4週後、8週後、12週後の平均値及び95%信頼区間を投与群ごとに算出した。
三次評価項目について、ベースラインから投与12週後の変化の要約統計量(例数、平均値、割合等)を算出した。
運動耐容能(6分間歩行距離)の変化(主要評価項目)
運動耐容能の指標である6分間歩行距離の投与開始前から投与12週後の平均変化は、レバチオ20mg 1日3回投与群で41.3mの増加、プラセボ群で3.7mの減少であり、レバチオはプラセボと比較して有意な改善を示しました( p<0.0001、層別t検定、検証的な解析結果)。
- 投与開始前から投与12週後の6分間歩行距離の変化(海外データ)(主要評価項目)
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血行動態パラメータの変化(副次評価項目・三次評価項目)
副次評価項目である平均肺動脈圧の投与開始前から投与12週後の平均変化は、レバチオ20mg 1日3回投与群で2.1mmHgの低下、プラセボ群で0.6mmHgの上昇であり、レバチオはプラセボと比較して有意な低下を示しました(p=0.021、層別t検定)。三次評価項目について、投与12週後のレバチオ群における血行動態パラメータの変化(平均値)は、肺血管抵抗係数-220.4dyne・sec/cm5/m2、心拍出量0.39L/minでした。また、右房圧-0.8mmHg、肺動脈楔入圧-0.2mmHgでした。
- 投与開始前から投与12週後の血行動態パラメータの変化(海外データ)
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その他の血行動態パラメータの変化(三次評価項目)
肺高血圧症のWHO機能分類の変化(三次評価項目)
ベースラインから投与12週後までにWHO機能分類が1段階以上改善した症例は、レバチオ20mg 1日3回投与群で27.9%(19/68例)であり、プラセボ群は7.1%(5/70例)でした。一方、1段階以上悪化した症例は、レバチオ20mg 1日3回投与群では2.9%(2/68例)であり、プラセボ群は10.0%(7/70例)でした。
- 投与開始前から投与12週後までのWHO機能分類の変化(三次評価項目)(海外データ)
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※:1例は投与開始前又は投与開始後に機能分類の評価がされなかった。
・レバチオ40mg群、レバチオ80mg群は、国内の承認用法および用量の範囲外のため削除した。
安全性
本試験における副作用は、レバチオ20mg 1日3回投与群で38/69例(55.1%)、40mg 1日3回群38/67例(56.7%)、レバチオ80mg
1日3回投与群で47/71例(66.2%)、プラセボ群36/70例(51.4%)でした。
レバチオ群における主な副作用は、20mg 1日3回投与群で頭痛23/69例(33.3%)、消化不良6/69例(8.7%)、潮紅5/69例(7.2%)、40mg
1日3回投与群で頭痛20/67例(29.9%)、潮紅6/67例(9.0%)、四肢痛6/67例(9.0%)、80mg
1日3回投与群で頭痛30/71例(42.3%)、潮紅11/71例(15.5%)、筋痛9/71例(12.7%)でした。プラセボ群における主な副作用は、頭痛17/70例(24.3%)、悪心5/70例(7.1%)、腹痛NOS4/70例(5.7%)、浮動性めまい4/70例(5.7%)でした。
重篤な副作用として、レバチオ20mg 1日3回投与群で左室機能不全が1例、レバチオ40mg 1日3回投与群で体位性低血圧が1例報告されました。投与中止に至った副作用として、レバチオ80mg
1日3回投与群で色視症、塩味、消化不良、潮紅、ほてり、くるぶしの腫脹、下肢痛、羞明が1例(同じ患者)報告されました。副作用による死亡例は報告されませんでした。
4. 効能又は効果
肺動脈性肺高血圧症
5. 効能又は効果に関連する注意
5.1 肺動脈性肺高血圧症に関するWHO機能分類クラスⅠにおける有効性・安全性
は確立されていない。
5.2 本剤の使用にあたっては、最新の治療ガイドラインを参考に投与の要否を検討すること。
6. 用法及び用量
(成人)通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。