臨床成績(小児):小児肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした国際共同試験(第Ⅲ相試験: STARTS-1)|レバチオ
臨床成績(小児): 小児肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした国際共同試験(第Ⅲ相試験:STARTS-1)(海外データ)
社内資料(承認時評価資料):小児肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした国際共同試験(第Ⅲ相試験)
Barst, R.J. et al.:Circulation 125(2):324, 2012
利益相反:本研究はファイザー社より支援を受けており、著者に同社から利益受領している者及び社員が含まれる
国際共同第Ⅲ相試験(STARTS-1)の概要
- 【試験デザイン】
- プラセボ対照、二重盲検、無作為化、並行群間比較、用量設定、国際多施設共同試験
- 【目的】
- 小児の肺動脈性肺高血圧症患者を対象にレバチオを16週間経口投与したときの有効性及び安全性を評価する。
- 【対象】
- 以下のいずれかの基準に合致する1~17歳、体重8kg以上の肺動脈性肺高血圧症患者234例
[原発性肺動脈性肺高血圧症患者/ベースライン時の室内気下での安静時動脈血酸素飽和度(SaO2)が88%以上の先天性体肺短絡/生後30日以内に修復された完全大血管転位症/スクリーニングの6ヵ月以上前に他の先天性心病変の外科的修復術を受けており、除外基準に該当する臨床的に意味のある左心系の残存病変のない患者] - 【投与方法】
-
16週間にわたり、レバチオ錠(低用量、中用量、高用量のいずれか)又はプラセボを6時間以上の間隔を空けて1日3回、食事の2時間以上後で次の食事の2時間以上前に水と共に服用※1した。
※1:錠剤が嚥下困難な患者には、錠剤を砕いて少量(5mL)の柔らかい食物と混ぜ、その全量を速やかに摂取させた。
患者の割り付け方法及び各用量の投与量は以下の通りである。
- 【主要評価項目】
- CPET(自転車エルゴメータ)により評価する、体重で標準化した最大酸素摂取量(peak VO2)
- 【副次評価項目】
- 血行動態評価による平均肺動脈圧(mPAP)・肺血管抵抗係数(PVRI)・肺血管抵抗(PVR)・心係数・右心房圧(RAP)/CPETによる呼吸交換比(RER)及びpeak VO2到達時間/「小児の健康に関する質問票:保護者用28項目質問票(Child Health Questionnaire-Parent Form28:CHQ-PF28)」による身体的及び心理社会的スケール/WHO機能分類
- 【三次評価項目】
- 血行動態評価による肺動脈楔入圧(PCWP)・収縮期血圧(SBP)・拡張期血圧(DBP)・平均全身動脈圧(MAP)及び全身血管抵抗係数(SVRI)/CPETによる総換気量(VE)及び混合静脈血酸素飽和度(SVO2)・呼気終末O2及びCO2・無酸素性作業閾値(AT)・percent predicted peak VO2/患者の親・医師による全般評価/臨床症状悪化までの期間/基礎治療/CHQ-PF28スコア/生存確認
- 【解析計画】
- 主要評価項目は、共分散分析モデル(因子:用量群、共変量:peak VO2のベースライン値、臨床分類、体重層)を用いて、レバチオ併合群とプラセボ群を比較し、有意水準5%(両側)で検定を行った。副次評価項目のうち、mPAP及びPVRIは共分散分析モデル(因子:用量群、共変量:臨床分類、体重層、CPETの実施能力)を用いて、レバチオ併合群とプラセボ群を比較し、有意水準5%(両側)で検定を行った。
体重で標準化した最大酸素摂取量(peak VO2)(主要評価項目)
peak VO2のベースラインからの平均変化率は、レバチオ併合群+10.24%、プラセボ群+0.53%であり、統計的な有意差は検証されませんでした(P=0.056:共分散分析、検証的な解析結果)。
- peak VO2のベースラインからの変化率(海外データを含む)(主要評価項目)
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平均値±標準偏差
※臨床分類、体重、ベースラインpeak VO2を共変量とした共分散分析モデルにより解析した。
また、脱落例などによるデータの欠測については、Last observation carried forward(LOCF)法により補っている。
血行動態パラメータの変化(副次評価項目)
肺血管抵抗係数及び平均肺動脈圧はレバチオの用量に依存した改善傾向を示しました。肺血管抵抗係数のベースラインからの平均変化量は、レバチオ併合群-256dyne・sec/cm5/m2、プラセボ群72dyne・sec/cm5/m2でした(p=0.047:共分散分析)。平均肺動脈圧のベースラインからの平均変化量は、レバチオ併合群 -4.3mmHg、プラセボ群 -0.4mmHgでした(p=0.172:共分散分析)。
- 肺血管抵抗係数のベースラインからの変化量(海外データを含む)
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平均値±標準偏差
※臨床分類、体重、CPETの実施能力を共変量とした共分散分析モデルにより解析した。
また、脱落例などによるデータの欠測については、Last observation carried forward(LOCF)法により補っている。
- 平均肺動脈圧のベースラインからの変化量(海外データを含む)
-
平均値±標準偏差
※臨床分類、体重、CPETの実施能力を共変量とした共分散分析モデルにより解析した。
また、脱落例などによるデータの欠測については、Last bservation carried forward(LOCF)法により補っている。
安全性
本試験における副作用は、レバチオ群低用量群で11/42例(26.2%)、中用量群で13/55例(23.6%)、高用量群で22/77例(28.6%)、プラセボ群で16/60例(36.7%)に認められました。レバチオ群における主な副作用は、低用量群で頭痛4/42例(9.5%)、嘔吐2/42例(4.8%)、四肢痛2/42例(4.8%)、中用量群で頭痛5/55例(9.1%)、嘔吐3/55例(5.5%)、浮動性めまい2/55例(3.6%)、自発陰茎勃起2/24例(8.3%)a)、高用量群で頭痛8/77例(10.4%)、嘔吐4/77例(5.2%)、鼻出血3/77例(3.9%)でした。プラセボ群における主な副作用は、頭痛8/60例(13.3%)、腹痛3/60例(5.0%)、潮紅3/60例(5.0%)でした。重篤な副作用として、レバチオ高用量群で2例(上気道性喘鳴及び過敏症1例、心室性不整脈1例)が報告されました。試験中止に至った副作用は、低用量群1例(体重減少)、高用量群1例(上気道性喘鳴及び過敏症)、プラセボ群1例(斑状皮疹)に認められました。本試験期間中の死亡例は報告されませんでした。
a) 性別に依存して発言する副作用については、各用量群の男児又は女児の患者数の総数を分母として発現率を計算した。
6. 用法及び用量
(1歳以上の小児)
〈レバチオ錠・レバチオODフィルム〉
体重20kg超の場合︓通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。
〈レバチオ懸濁用ドライシロップ〉
体重8kg以上20kg以下の場合︓通常、シルデナフィルとして1回10mgを1日3回経口投与する。
体重20kg超の場合︓通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。
17. 臨床成績
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.5 国際共同第Ⅲ相試験(小児)(抜粋)
独立安全性モニタリング委員会が開催された時点で、35例[低用量群5/55例(9%)、中用量群10/74例(14%)、高用量群20/100例(20%)]に死亡が認められ、高容量量群で死亡率が高かったため、投与量を本剤の承認用量(体重20kg超の患者には20mg1日3回、体重20kg以下の患者には10mg1日3回)まで減量するよう勧告があり、その後はその用量のみが継続して投与された。[15.1.5参照]