MRAの位置づけと適正カリウム値

MRAの位置づけと適正カリウム値

監修 大西内科ハートクリニック 院長 大西 勝也 先生

急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)に基づく慢性心不全におけるMRAの位置づけと適正カリウム値

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)において、
HFrEF患者さんに対してLVEF35%未満の有症状例には禁忌がないかぎり
全ての症例に投与が推奨されるようになりました 1)

1)日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版), 2018 P.40 VI. 薬物治療より
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_tsutsui_h.pdf (2020年7月閲覧)

2018年3月に新しい心不全診療ガイドラインが発表され、心不全の発症・進展が4つのステージに分類されました。ステージC(心不全ステージ)では予後の改善と症状の軽減が目標とされています。予後の改善を考える上でミネラルコルチコイド拮抗薬(MRA)の存在を外すことはできません。ステージC、NYHA心機能分類II度からのHFrEFの薬物治療において、MRAは推奨クラスⅠ、エビデンスレベルAとなり、ACE阻害薬、β遮断薬と並ぶ標準治療薬として位置づけられました。具体的にはMRAは、LVEF35%未満の有症状例には禁忌がないかぎり全ての症例に投与することが推奨されるようになりました。

Q:すでにMRAに生命予後改善効果があることは十分知っている。
でも、高カリウム血症発現がリスク。
MRAの投与に際しての適正カリウム値は? 測定時の注意点は?

A:セララ投与中は定期的な血清カリウム値の測定が必要です。
血清カリウム値は採血時の環境等の影響を受けますので、
適切な方法で測定してください。

注)セララの効能又は効果は高血圧症、慢性心不全(アンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシンII受容体拮抗薬、β遮断薬、利尿薬等の基礎治療を受けている患者)です。セララとACE阻害薬、ARBは併用注意です。禁忌を含む使用上の注意の改訂に十分ご留意下さい。β遮断薬の中には慢性心不全患者に対して投与禁忌の薬剤があります。スピロノラクトンの効能又は効果及び用法又は用量は、国内承認範囲外の情報を含むため、製品のご使用にあたっては、最新の添付文書をご確認ください。

心不全患者の適正カリウム値は4.5~5.5mmol/Lです

心疾患患者における適正カリウム値は疾患によって異なります( 表1 )。
高血圧患者の適正カリウム値は3.5~5.0mmol/Lとされています。高カリウム食により血圧低下が期待できますが、高カリウム血症では、四肢の痺れ、筋力低下、不整脈、吐き気、腸閉塞など、神経筋伝達の異常が起こる恐れがあります。心不全患者では、低カリウム血症がジギタリス中毒や致死性不整脈を誘発することがあります。そのため、適正カリウム値は4.5~5.5mmol/Lと、高血圧患者より高く設定されています。

採血時のエラーが、偽性高カリウム血症をもたらす可能性があります

MRAを含むレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系阻害薬の投与により、高カリウム血症があらわれることがありますので、定期的に血清カリウム値を観察する必要があります。私がクリニック開業後に気づいた、血清カリウム値測定の注意点をご紹介します( 表2 )。
血清カリウム値は、採血後の検査までの時間や、検体保存時の温度の影響を受けます。また、駆血帯で長く圧迫したり、採血中に手を握る、開くという動作を繰り返すと、血清カリウム値が上昇することが知られています。さらに、溶血・血小板破壊が起こると、細胞内カリウムが放出されることがわかっています。このように、血清カリウム値は採血時の環境などにより変動するため、注意が必要です。

採血後できるだけ速やかに分離すること、室温(18~24℃)で保存することが重要です

前述の通り、血清カリウム値は、採血後の時間、検体保存時の温度の影響を受けます。
採血後に時間が経つほど、血清カリウム値は変動します。また、採血後に冷凍保存すると血清カリウム値が高く測定される可能性があります。一方、検体保存時の温度が高いと、血清カリウム値は低下します( )。
したがって、採血後はできるだけ速やかに血清分離すること、それが不可能な場合は全血をなるべく室温(18~24℃)で保存することが重要です。

セララを適正にご使用いただくために

[資材作成年月日:2021/09]

セララの慢性心不全と高血圧との用法及び用量の違いや、カリウムマネジメントについて解説いたします。

監修:心臓・腎高血圧・健康研究所 所長
名古屋市立大学 名誉教授
独立行政法人 労働者健康安全機構 旭労災病院 名誉院長 木村 玄次郎 先生

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