なぜ今MRAセララが重要なのか?

すべての循環器内科医が知っておくべき、
新たな心不全標準治療

監修 東京慈恵会医科大学 内科学講座循環器内科 主任教授
吉村 道博 先生

Point

  • 心不全の病態進展にはレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系の過剰な活性化が関与しています。
  • MRAは心不全の予後改善効果が認められており、「急性・慢性心不全診療ガイドライン」でもLVEFの低下した慢性心不全において、禁忌がない限り全例にMRAの投与が推奨されているものの、MRAの処方は必ずしも進んでいないという課題があります。

超高齢社会を迎えたわが国における心不全対策の重要性

心不全は入退院を繰り返しながら進行し、5年以内の死亡率が約50%など、極めて予後が悪い疾患です。再入院を繰り返すうちに全身状態が低下し、ADLやQOLが徐々に低下していくため、患者さん本人はもちろんのこと、患者さんのご家族や社会的負担が大きいことが課題となっています。
超高齢社会を迎えたわが国において、心不全の患者数は年々増加しており、心不全は2018年12月に成立した「脳卒中・循環器対策基本法」において重要3大疾患の1つに位置づけられており、その対策が今後、重要視されています。

心不全の病態進展に関与するRAA系

心不全は心機能の低下により末梢循環不全やうっ血を来す病態であり、数多くの神経体液性因子が関与しています。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系、交感神経系は循環維持に働いているものの、これらの過剰な活性化は心不全を進展させてしまいます。内因性ANP、BNPはそれらに対抗していますが、不十分な状態です。

心不全治療におけるMRA治療の果たす役割

RAA系のいわば「かなめ」と捉えることもできるアルドステロンは、ミネラルコルチコイド受容体(MR)に結合し活性化します。近年、過剰なMRの活性化は、腎臓に影響を及ぼすだけではなく、多彩な臓器、なかでも心臓にも大きな影響を及ぼすことが明らかになってきました。心肥大や線維化に少なからず影響を与えていると思われます。そのため、MRに着目して心不全治療を考えることが重要となっており、ACE阻害薬、β遮断薬に加え、予後改善効果が認められている、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)による薬物治療の果たす役割は大きいと思われます。

「急性・慢性心不全診療ガイドライン」におけるMRAの推奨と
心不全診療における課題

2018年に改訂された「急性・慢性心不全診療ガイドライン」の大きな変更点として、NYHAⅡ度、LVEFの低下した慢性心不全において、MRAはACE阻害薬、ARB、β遮断薬とならび、「推奨クラス Ⅰ、エビデンスレベル A」に位置づけられ、禁忌がない限り、全例にMRAの投与が推奨されることになりました 1)
MRAであるエプレレノン(セララ)の大規模臨床試験 2) などにおいて、3剤併用により心不全患者の予後改善が得られることが明らかにされています。しかしながら、JCARE-CARD 3) などにおいて、MRAはACE阻害薬やβ遮断薬と比較して処方率が低いことが示されており、心不全治療における今後の課題の1つであると考えられます。多くの心不全は、薬剤選択やさじ加減によってかなり改善することから、適切な薬剤選択が浸透することが望まれます。
MRAは確かなエビデンスを有しており、それを必要としている患者さんに確実に届けることは重要であり、患者さんの長期予後改善やQOLの改善に役立てていただきたいと思います。

<文献>
1) 日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版), 2018 P.34 V. 心不全治療の基本方針より
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_tsutsui_h.pdf(2019年8月閲覧)
2) Zannad F et al: N Engl J Med. 364(1): 11, 2011 (承認時評価資料)
3) Tsuchihashi-Makaya M et al: Circ J. 73: 1893, 2009

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