緑内障治療における配合点眼薬の有用性と意義 2-Q2 | ザラブランドinfo | キサラタン・ザラカム
緑内障治療における配合点眼薬の有用性と意義 2.PG/β配合点眼薬による治療強化
Q2. PG関連薬単剤からPG/β配合点眼薬への切り替えによる眼圧下降効果について教えてください。
監修・出演:医療法人社団済安堂 井上眼科病院 理事長 井上 賢治 先生
Additonal Interview
Q1 早期緑内障においても治療強化が必要となるケースについて教えてください。
A
早期緑内障における治療強化の必要性を見極める上で重要なのは視野障害の進行速度であり、基本的にはMDスロープにより評価します。しかしMDスロープでは局所的な視野変化を捉えられない可能性があるため注意が必要です。
視野障害の部位については個々の症例により異なりますが、とくに下方中心の視野障害(下図)は日常生活に影響を及ぼしやすいとの報告があります1)。したがって、視野障害進行のサインとなるような「見えづらさ」の訴えなど患者さんの自覚症状にも十分な注意を払う必要があります。
また、年齢、高眼圧、乳頭出血などの緑内障進行のリスクファクターを有する場合、早期から積極的な治療強化を検討すべきであると考えています。

画像提供:医療法人社団済安堂 井上眼科病院 理事長 井上 賢治 先生
1) 平澤裕代:臨床眼科 69(11)増刊号:111, 2015
Q2 フォローアップにおける目標眼圧設定のポイントについて、お考えをお聞かせください。
A
緑内障では長期にわたる眼圧コントロールが重要であり、目標眼圧については「視野障害が進行しない眼圧」に設定すべきと考えています。眼圧には日内変動があり、とある測定時点の眼圧値のみで目標眼圧を設定することは困難です。そのため、視野障害の進行がみられた場合は目標眼圧に到達しておらず、さらなる治療強化により眼圧をコントロールするというのが、私の考えです。

Annual Meeting of the American Academy of Ophthalmology 16 November 2003.
Anaheim. California, USAより改変
Q3 フォローアップにおいて、どのような場合に中心10-2プログラムを考慮されるのでしょうか?
A
Humphrey視野計では通常、中心30-2プログラムが用いられますが、中心10-2プログラムも非常に重要な検査です。しかし、実臨床において両プログラムを同時に実施するのは困難です。そのため、ポイントとなる視野障害の部位を考慮して、30-2では視野障害がほとんどみられない場合や視野障害が中心に及んでいる場合などでは、10-2でフォローアップし、ときに30-2で確認を行うなど総合的に評価する方法もあると思います1)。

画像提供:医療法人社団済安堂 井上眼科病院 理事長 井上 賢治 先生
1) Anderson DR. et al.著: 北澤克明ほか監訳: 緑内障診療のための自動静的視野計測 1 医学書院125, 2001
Q4 緑内障患者さんのアドヒアランスの確認方法について教えてください。
A
眼圧コントロールが良好な患者さんに対しては点眼状況を詳しく聞くことはしません。一方、眼圧コントロールが不良な患者さんに対しては「眼圧があまり変わっていませんが、きちんと点眼していましたか?」といった質問をして、点眼状況を確認します。また、当院のスタッフによる点眼忘れや副作用などの聞き取り内容についても、アドヒアランスを把握する上で参考にしています。

医療法人社団済安堂 井上眼科病院 理事長
井上 賢治 先生
Q5 どのような患者さんに対して配合剤への切り替えを勧めますか?
A
配合剤の存在を知らない緑内障患者さんでは、多剤併用以外に選択肢がないと考えている患者さんもいます。例えば2剤併用中の患者さんで、点眼忘れが多いと言われた方に対しては、点眼による負担を軽減させる目的で配合点眼薬への切り替えを考慮します。緑内障治療は、患者さんごとに薬剤選択を検討し、視機能を維持することが重要です。

監修:医療法人社団済安堂 井上眼科病院 理事長 井上 賢治 先生
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1. PG関連薬単剤による治療導入
2. PG/β配合点眼薬による治療強化
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Q1 PG関連薬単剤で目標眼圧を達成できない場合の治療強化についてお聞かせください。
チャプター2(00:52)
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Q2 PG関連薬単剤からPG/β配合点眼薬への切り替えによる眼圧下降効果について教えてください。
チャプター3(00:45)
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Q3 PG関連薬+β遮断薬の併用とPG/β配合点眼薬で、眼圧下降効果は異なりますか?
チャプター4(00:39)
3. 配合点眼薬のメリットと治療強化
全編. 緑内障治療における配合点眼薬の有用性と意義