隅角の代表的な異常所見をチェックする!


Series1 隅角検査のコツ
隅角の代表的な異常所見をチェックする!
隅角には緑内障の診断に役立つ、多様な原因によって引き起こされた、様々な異常所見がみられます。
代表的な隅角の異常所見である狭隅角、色素沈着、周辺虹彩前癒着(PAS)、新生血管、隅角離開、隅角結節、Sampaolesi lineを解説します。
隅角の代表的な異常所見
狭隅角
隅角には線維柱帯という房水の排出口があり、隅角が狭くなると房水の排出が妨げられて眼圧が上がります。隅角鏡を用いて隅角の広さを観察し、「狭隅角」かどうかを判断することは、隅角検査の最も基本的なチェックポイントです。
隅角の狭い広いは、眼の上方下方、鼻側耳側によって異なるので、一ヵ所だけでなく全周みることが大事です。
線維柱帯の後方に白い帯として観察できる強膜岬がみえなければ狭隅角である可能性があります。
一方、広隅角では強膜岬、毛様体帯まで観察できることが多いです。
色素沈着
線維柱帯の中央から強膜岬側は、機能的線維柱帯に相当し、図のように色素が観察されることもあります。この隅角色素沈着が強い場合、色素はどこかから飛んできたものなので、その原因を考えなくてはなりません。
原因としては、狭隅角による線維柱帯と虹彩の接触、手術、炎症などが考えられ、その他、落屑緑内障や色素緑内障などの続発性緑内障でも、線維柱帯に著明な色素沈着が多くみられます。
周辺虹彩前癒着(PAS)
PASは、虹彩の周辺部が隅角の角膜側に癒着する異常所見です。この器質的な隅角閉塞は、房水の流出を妨げ、眼圧を上昇させます。
何が原因で起こったのかを考えます。狭隅角で起きたのか、ぶどう膜炎のような炎症で起きたのか、手術(レーザー、観血的)によるものなのかを判断し、それにより病型を分類します。
新生血管
新生血管がみられた場合には、眼に虚血性疾患が起きていることを疑う必要があります。
糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、内頸動脈閉塞症などに合併して前眼部に虚血が起こると、虹彩や隅角に新生血管が発生します。
生理的な血管走行と異なり、新生血管は不規則に曲がりくねって走行し、多くは左右に分岐します。新生血管の増加は、線維血管膜を作成し、やがて眼圧の上昇、PASを引き起こします。
隅角離開
隅角離開は、虹彩毛様体の根部が裂けたり、後方にずれることで起こり、強膜岬から後方にある毛様体縦走筋の付着が観察されます。
原因としては外傷を疑います。前房出血を伴うような鈍的眼外傷により、多くの隅角離開は生じます。
患者さん自身が忘れていることも多く、外傷の覚えがないだけでうのみにしてはいけません。
隅角結節
米粒状や乳嘴状の白い隅角結節が線維柱帯付近に観察されることがあります。また、結節に伴いテント状のPASが認められることがあります。
隅角にできる結節は、隅角閉塞を引き起こすPASの発生につながり、原因としては肉芽腫性のぶどう膜炎が考えられます。
Sampaolesi line
Sampaolesi lineはシュワルベラインの上方に沿った色素沈着で、典型的なものは図のように波打っています。この所見がある眼では落屑症候群を疑います。