緑内障とは
緑内障とは
まず初めに緑内障の定義についてご紹介します。
以下は、日本緑内障学会の緑内障診療ガイドライン第5版に記載されている緑内障の定義です。
緑内障の定義
「緑内障は、視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」
具体的に眼球の構造を断面から見たイラストでご紹介いたします。
私たちが見ている映像の情報は角膜、水晶体を通じて、カメラのフィルムに相当する網膜上に像を結びます。通常はここで発生する電気信号が視神経乳頭を経由し、視神経、そして脳へと送られ、脳で「見えた」と認識します。緑内障では眼圧の上昇等により視神経がダメージを受け、視野に障害が生じます。
⽇本における視覚障害の現状
次に日本における視覚障害の原因疾患に関するデータをご紹介します。
以下は国内47都道府県を対象に視覚障害認定の実態調査を行う目的で実施されたものです。2015年4月1日から2016年3月31日の間に、新規に視覚障害認定を受けた18歳以上の視覚障害者12,505名を対象とし、全都道府県のデータを用いて、視覚障害認定者の年齢、性別、原因疾患、等級についてアンケート調査が行われました。
本論文では視覚障害の原因疾患は緑内障が最も多く、28.6%を占めていたと報告されています。その他の原因疾患については以下の通りです。
視野欠損のイメージと日本における緑内障の内訳
では、なぜ緑内障は視覚障害の原因疾患の第一位の疾患となっているのでしょうか。
その要因のひとつに、緑内障は通常、自覚症状に乏しく、未受診の潜在患者が多いという点が挙げられます。以下は緑内障患者さんの視野欠損をイメージした報告です。見えない部分は黒く塗りつぶされたように見えるのではなく、周囲の色やパターンにより充填されます。このように、緑内障では視野障害がかなり進行しても気づきにくい場合があると言われています。
また緑内障に気付きにくい理由のひとつに眼圧の問題があります。以下は疫学調査、多治見スタディのデータです。日本緑内障学会が疫学的手法に基づいた大規模な緑内障の疫学調査を計画し、年間を通じて検診が可能であること、該当地域に専門医がいること、自治体の協力が得られること、交通の便などの理由から、「岐阜県多治見市」で疫学調査が実施されました。
対象は岐阜県多治見市在住の40歳以上の住民から無作為に抽出された被験者3,870名のうち、眼疾患の検診を受診した3,021名です。方法としましては、スクリーニング検査において眼疾患の疑いの有無を判定し、二次検査において診断を確定しました。原発開放隅角緑内障(狭義)、正常眼圧緑内障、原発閉塞隅角緑内障、および続発緑内障の有病率を算出しています。
結果として40歳以上の5.0%に緑内障が認められました。正常眼圧緑内障は3.6%でした。つまり眼圧の異常値を捉えるだけでは、緑内障の多くは見逃されてしまうということです。
なお、原発開放隅角緑内障は0.3%、続発緑内障は0.5%、原発閉塞隅角緑内障は0.6%でした。
緑内障の早期発見・早期治療および長期にわたる眼圧コントロールの重要性
視神経は実は緑内障ではない正常の方でも加齢とともに減少していきます。しかし通常は寿命を全うするまでの間は生活に不自由のない視野が保たれます。
緑内障の治療では、重大な視野障害が発生しないよう眼圧を適正にコントロールすることで視野障害の進行速度の抑制を図ります。緑内障患者さんが生涯、視野に不自由のない生活を送るためには、緑内障を早期に発見し、長期にわたり眼圧をコントロールすることが重要です。